英語があまりできないが外資系にチャレンジしたい――。
給与水準や職場環境などの観点から外資系企業を魅力的に感じる人は多いです。
一方で外資系で避けては通れないと考えられているのが英語力。この英語力がないまま外資系企業に入社するとどうなるでしょうか。
本記事では、大手外資系メーカーで働く筆者がこれまでに見てきた、英語ができないまま入社した人の3つのパターンをご紹介します。
外資系企業への入社を検討しているが、英語に不安を感じる方はぜひ参考にしてください。
筆者:RIO
・大手外資系メーカー マーケティング マネジャー
・入社前はTOEIC 935点だったが会社では全く英語が通用せず
・日常生活の中に英語を取り入れることに強いこだわりを持ち英語力をアップ
・日本生まれ日本育ちながら英語力を向上させ、現在日々英語を使って仕事を行う
・2児の親
パターン1:英語を使わないポジションで入社し、ずっとそのポジション
まずは「英語を使わないポジションで入社し、ずっとそのポジション」で働いていくパターンです。
このパターンは、外資系企業で働くというイメージとはかけ離れているように感じる人もいるかと思いますが、実際は十分有りうるパターンです。
外資系企業の給与水準や働きやすさに魅力を感じながらも、英語ができず、今後も英語を身につける予定がない人はこちらを狙っていくという選択肢があります。
実際に、外資系企業では英語を使わなくても業務上問題ないポジションがいくつもあります。
代表的な例は営業部です。
例えば筆者の勤める会社の営業部は、部長でもほとんど英語を話すことはありませんし、ましてや一現場の顧客担当では英語を喋る機会は全くありません。
たまーに海外ブランチからビジターが視察に来た際に顧客訪問をする場合、そこにアテンドしたらランチやディナーに付き合って英語を話す必要が出てきますが、めったにありません。
ただし、英語の社内メールや資料を読む機会は日系企業よりは多いと思いますので、ある程度読める力は必要な点には注意です。ある程度のリーディング力は鍛えておきましょう。
このパターンは、ある程度のリーディング力がある程度で済み、総じて英語を使わずに外資系企業の給与水準や職場環境を得られる点で、狙い目の働き方ではあります。
ただし、面接では英語が必要なケースがありますので、最低限面接を突破するための英語の対策は行っておきましょう。
パターン2:英語が必要なポジションで入社するが、その場しのぎで切り抜け続ける
つづいては、「英語が必要なポジションで入社するが、その場しのぎで切り抜け続ける」パターンです。
このパターンは、英語ができないことに対する後ろめたさを気にしないメンタルと、英語が必要なシーンを切り抜けるスキルが必要になります。
とくにそのスキルが必要となるのは、英語の電話会議です。筆者のようにマーケティングなど、海外ブランチとコミュニケーションを頻繁に行うようなポジションであれば、急な電話会議が入ることは日常茶飯です。
メールや資料作成などはいくらでも調べたり時間をかけることができるので、英語ができなくとも対応できますが、出たとこ勝負の電話会議はなかなかそうはいきません。
英語ができない場合は、切り抜けるためのスキルが必要となります。
急な電話会議に対応するためのフレーズは以下の記事を参考にしてください。
電話会議以外の英語の対応は英語ができなくとも比較的対応できます。
最近は翻訳ソフトもかなり優秀になっていますので、英語メールの文章作成や英語での資料作成には重宝するはずです。
海外ブランチから送られてきたメールや資料は自動翻訳に入れればだいたいは理解できますね。
このように、電話会議さえ切り抜ける術を身につけられれば、のらりくらりと英語をかわしながら、英語が必要なポジションで働くこともできるでしょう。
ただし、英語ができないことに後ろめたさを感じてしまう人には向いていないでしょう。開き直るメンタルは必要です。
パターン3:英語が必要なポジションで入社し、入社後に英語を身につける
3つ目のパターンは「英語が必要なポジションで入社し、入社後に英語を身につける」という、王道パターンです。
筆者としては、こちらにトライすべきと考えます。
なぜなら英語ができるようになれば、就けるポジションの選択肢がかなり広がりキャリア的にもプラスになりますし、レイオフの対象にされるリスクも下がります。
例えば筆者の会社では、英語ができる場合とできない場合ではキャリアの選択肢に雲泥の差があります。
英語ができる人は国内のポジションのみならず、海外の様々なポジションが選択肢になります。
もちろん他の国の優秀な同僚との競争にもなるので決して易しい道のりではありませんが、少しでも自分の将来の選択肢を広げておきたい場合や、野心のある人にはおすすめです。
一方、英語ができない場合、就けるポジションはかなり限られます。
また、会社全体でレイオフがある場合、大してスキルに差がない二人のどちらを解雇の対象とするかを迷ったとき、最後は定量的に測れる英語力が効いてくるでしょう。
少なくとも海外ブランチとコミュニケーションが取れる人材というのは意外と貴重なものです。外資系といえど英語を話せる人達ばかりではありません。
英語ができるということが他者との差別化になり、ひいては自分のポジションを強固にしていきます。それにより、いざ会社が厳しい状況でも、解雇の対象となるリスクを下げることができることができるでしょう。
普段英語を身につけようと思っても中々アウトプットを行う機会がないことがネックになりますが、外資系で英語を使うポジションにいればアウトプットし放題です。
この機会をポジティブに捉え、英語を面倒なものと考えず、積極的に英語を使っていき、英語力を伸ばしていきましょう。
外資系で英語ができないとクビになる、は本当か?
外資系企業に勤めるなら英語ができないとクビになるのではないかと不安に思う方もいるのではないでしょうか。
筆者の考えはNoです。つまり、英語ができないからといってクビにダイレクトにつながるということは、経験上ありません。
英語力が効いてくるのは、どちらかというと昇進の方です。
筆者の会社では、以前までTOEICや他の試験の英語の試験の点数が、管理職昇進の条件になっていた時代がありました。
今はそのような条件は撤廃されていますが、上司などが昇進候補の英語力をチェックし、昇進可能かの検討を行うというのが行われています。
英語の試験が条件の場合には、その試験対策をすればよいためそこまでハードルは高くありませんでした。一方、試験の点数ではなく定性的に英語力をチェックされるとなると、上司などへ英語力をアピールする場が英語の電話会議などに限られます。
そこでしっかりと英語を話して英語ができることをアピールするのは難易度が高いです。日頃から英語学習に取り組んだり、会議での立ち居振る舞いをシミュレーションしておきましょう。
また、英語ができないからといってクビに直結しないと書きましたが、最後の最後、能力が同じ人のどちらを解雇しようか考えるような状況が発生すると、英語ができない方の肩が叩かれる可能性はあります。
英語ができないから即クビということは無いでしょうが、保身のためには英語ができた方がリスク回避になるというのは間違いないでしょう。
どうしても英語ができない、かつ身につけるつもりもない場合は、他の部分で価値を発揮していればなんとかなります。
筆者も普段から考えていますが、自分のポジショニング(他の人と比べてどこが優れているか、どう会社へ貢献しているか)をよく考えて行動することが重要ですね。
英語の必要度は会社規模にもよる
以上、外資系企業で英語ができない場合のパターンをご紹介してきました。
最後に、英語の必要度は会社規模にもよることに触れておきます。
上記の内容、例えば営業部など英語が不要なポジションがあるなどは、比較的日本でのビジネスオペレーションが安定していて、規模もそれなりにある会社を想定しています。
そのような会社であれば、英語ができなくとも働けるポジションがあります。
一方で、設立間もない日本法人では、営業部にしろどの部門にしろ、直属の上司が外国籍の人だったり、社内コミュニケーションがほぼ完全に英語だったりすることがあります。
英語を使わないという働き方ができない場合が多いので、このような会社を選択する際は要注意です。
英語をガンガン使って強制的に英語力を伸ばせる環境に身を置きたいと考える方には良いかもしれません。
一口に外資系といっても様々な会社がありますので、その会社の環境をしっかり確認するようにしましょう。