【就職の前に知りたい】外資系企業の力学や風土と英語力の必要性

外資系企業へ就職するには

※記事更新日2025年8月8日

「外資系への転職に興味があるのだけど、実際どんな感じなの?」「入った後は実際どんな能力が必要なの?」

たまに上記のような質問を受けます。

筆者は外資系企業でしか働いたことがないので日系企業との違いを解像度高く理解できているかわかりません。

ただ、学生時代の友人で日系企業で働いている人や、筆者の会社から日系企業に転職した人から聞く話を考慮すると、少なくとも外資系ならではの力学や風土があるのではと感じます。

この力学や風土を理解しないまま入ると「思っていたのと違った」「やっぱ合っていないかも」となる可能性があるので注意が必要です。

今回の記事ではその力学や風土、そこで求められる能力について書いてみました。

また、特に英語の必要性について聞かれることも多いです。

ちまたではよく「英語ができても頭が良くなければ意味がない」といった論調がありますが、確かにそうだと思う一方で、外資系企業では英語が超重要です。例えば「英語ができて他はそこそこの人」の方が「英語ができないがとっても要領の良い人」よりも、仕事を前に進められる印象です。

そのあたりについても書いてみましたのでご参考にしてください。

筆者:RIO
・大手外資系メーカー マーケティング マネジャー
・入社前はTOEIC 935点だったが会社では全く英語が通用せず
・日常生活の中に英語を取り入れることに強いこだわりを持ち英語力をアップ
・日本生まれ日本育ちながら英語力を向上させ、現在日々英語を使って仕事を行う
・2児の親

プロフィール詳細はこちら

目次

外資系ならではの力学と求められる能力とは

一般的に「外資系企業」と言うとき、それは例えばアメリカに本社があってその日本支社を指しますよね。

アメリカ企業でもシンガポール企業でも韓国企業でも外資系と呼びますが、おそらく風土は違いますので、この記事では筆者の経験があるアメリカ企業を念頭において書きました。

アメリカ企業の日本支社で働く場合に働く力学は、まさに日本支社は支社であり子会社であるということです。

会社によって裁量は異なると思いますが、どの会社も最終的にはグローバル本社の言うことを聞かなければならない、あるいは本社にこちらの要望を通すためにどう立ち回るかという状況が発生します。

このグローバル本社とのコミュニケーションのために、日本支社のメンバーには様々な能力が求められます。

例えば英語力はもちろんのこと、グローバルスタンダードのビジネスマナーや多様性に対する理解、日々グローバル本社から発信されるメッセージを解釈できる能力、組織の役割や構造を理解して社内のキーマンを特定する姿勢など、総合的なコミュニケーション能力が必要です。

また、外資系企業は意思決定のスピードや実際の実行のスピードが速く、最近アメリカのトランプ大統領の手法として言われているような、とにかく大きく方針をアナウンスして詳細なオペレーションはそのあとで調整するようなやり方が普通に行われます。

グローバル本社の方針転換を即座に受け止め、日本支社としてどう動くべきか判断する必要が多々発生するわけです。このスピード感やカオス感に驚かずについていけることも重要な能力ですね。

上記のようなの能力の有無が日系企業に長年勤めている場合と外資系企業に勤めている場合で、かなり差が出てくるのかなと勝手に思っています。

どうしても避けられない支社 < 本社という力学を理解し、そこに対して求められる能力を身につけていることが外資系企業への就職、そして実際に働く上で大事なことでしょう。

外資系は「政治力」よりも「実力」というのは本当か

外資系企業は一般に「成果主義」「実力主義」と言われ、日本企業のような年功序列や社内政治とは無縁のように思われがちです。

筆者の経験上、これは少し違うなという感覚です。

実際に働いている中では「政治ゼロ」ということは全くありません。

むしろ、上司やグローバル本社のキーパーソンとの関係構築、クロスボーダーな意思決定の場での根回し、時には派閥のようなチームの力学に巻き込まれることもあります。

特に日本支社でプロジェクトをリードするような人は、グローバル本社の意向をうまく汲み取りながら自分たちの意見を通す外交官のような役割を求められることも少なくありません。

つまり、実力だけでは不十分で、「誰が誰とどうつながっているか」「どのタイミングで何を発言するか」といった政治力も、実は外資系のキャリアにおいて非常に重要なスキルなのだと感じる日々です。

あるときグローバル本社のメンバーからポーンとメールが飛んできて、その意味が測りきれず、まずAIに聞いてその解釈の案を参考にし、そのメールを送ってきた人と親しい人に真意を聞いてみたり、それらから意図を想像して適切な行動をとる、みたいなことが普通にあります。

また組織構造や内情もかなりチェックします。

先日筆者がとある海外での社内イベントで各国のメンバーと飲んだ際も、みんな誰が誰のスポンサーか、あの人の異動は○○が原因だったなどと、ずっと組織の噂話のようなことを話していました。

外資系企業でも政治は大いにあるという認識を持っておいた方が良いでしょう。

とはいえ実力主義は間違っていないので、成長意欲がある方にとっては良い環境となると思います。

自己主張や成果をアピールしないと評価されない

外資系企業では、「黙っていても誰かが見てくれている」という文化は期待できません。

このことを大きく感じたのは入社5年くらい経った頃でした。

筆者は5年目くらいまで猛烈に働いていた一方で、評価はそこそこでした。それこそ土日は働いて当たり前、3ヶ月間毎日3時間睡眠みたいな時期もありました。

筆者は誰か見てくれているという期待のもとそのように働いていましたが、周りから評価をされている感覚はあまりありませんでした。

転機は当時の上司とのOne on Oneで昇進したい旨を初めて伝えた時です。その時に上司から言われたのは、「きちんと成果をアピールしないといけない」「逆にアピールできないことはやっていないことと同じになる」ということでした。

また「やる気がある人を昇進させようという空気が社内にあるため、昇進の意欲を表明してもらったことは嬉しい」といったことも言われました。

自分の意思や成果、強みを明確に言語化し、適切なタイミングで発信しない限り、土俵に上がってすらいない可能性があるというわけです。

日本企業ではどうなのでしょうか。「出しゃばらない」「和を乱さない」といった美徳が評価されるというイメージがありますが、それが本当なら外資系とは逆ですね。

筆者の会社では自分がどんな価値をチームにもたらしたのか、どんな貢献をしたのかを定量的・論理的に伝えることが評価につながります。おそらく他の外資系でもそうなのだと思います。

評価面談や昇進のタイミングにおいてそれらについての自己アピール力が問われます。また日々のOne on Oneやチームミーティングの中でも、自分の意見をしっかり伝えられるかどうかが、リーダーシップや主体性の評価に直結します。

謙虚さを持つことは素晴らしいと思いますが、外資系で働く上では謙虚すぎる=アピールが足りない=実力がないと誤解されてしまうリスクすらあると感じます。

自己主張したり成果をアピールしないと評価されないということを念頭において、日々の仕事に取り組んでいく必要があるなと感じています。

「英語ができるそこそこの人」>「英語ができない容量の良い人」

外資系企業ではとにかく英語が重要です。筆者が入社前に想像していた以上に重要な一方で、意外と外資系でも英語ができない人がゴロゴロいます。

英語ができない人は、いくら頭が良くてもまさに言葉が通じないので仕事にならないことが多いです。

営業職なら外資系でも英語は話せる必要はなく、読める程度で済むケースが多いですが、日本ブランチで例えば企画やマーケティング職のような中心的なポジションに就こうとすると英語は話せることが必須です。

外資系企業ではグローバル本社やAPACなどのエリアチームと一緒に働いて仕事を前に進めていく必要があるので、英語が話せないとスピード感に大きく影響します。

また英語ができないというだけで海外メンバーからの信頼感が下がり、こちらの進めたいように進められないことも多くなるでしょう。

最近はAIが出てきて、「AIの同時通訳機能を使えば英語を話せる必要はないのでは?」という声も聞こえてきますが全くそのようなことはありません。

会議を一つや二つ切り抜けるだけなら良いかもしれませんが、自分の言葉で英語を話せない人と一緒に仕事をしたいと思う人はおらず、残念ながら信頼関係を築くことができません。

また実際に対面でディスカッションをする際に一人だけデバイスを介して自動通訳機能で話していたら、場のテンポについていけませんし誰もその人に話を振らなくなってしまいます。

日本支社としても英語を話せる人と話せない人、どちらを昇進させようかと考えたら英語を話せる人なわけで、キャリアの競争の観点からも結局自分の言葉で英語を話せるようになる必要はあるわけですね。

英語は絶対に必要であり、外資系企業への就職を目指す場合はある程度話せるところまで身につけるべきでしょう。

ちなみに筆者は英会話アプリを駆使して日々英語学習に取り組んでいます。

以下でおすすめのAI英会話アプリをご紹介しています。日々の英語学習のご参考にしてください。

ちなみに従来の英会話スクールも「場慣れ」のためには必要だと思っています。以下の記事でおすすめの先を紹介していますのでご参考にしてください。

外資系企業で働くことのリアルと可能性

外資系企業は政治もあると書きましたが、そうはいっても実力が評価されやすく、成果を出せば年齢や国籍に関係なくチャンスを得られる環境が比較的整備されていると思います。

その一方で、常に成果が求められ、変化も激しく、組織のロジックや文化に柔軟に適応できる力が問われます。

こうした環境に向いているのは、自分の考えを言語化して伝えられる人や変化を楽しめる人、自分でキャリアを切り拓いていく意志のある人なのだと思っています。筆者もこのあたりを意識して日々働いています。

最近では何か急な方針転換があっても驚かなくなりましたし、何か問題が起こっても逆にワクワクするような感覚も得られるようになってきました。

逆に、「指示待ちで動きたい」「馴染みの人間関係や変化のない仕事を長く続けたい」という人にとっては、外資系のスピード感や変化の激しさはストレスになるかもしれません。

とはいえそのような環境が自分の能力を上げ、ひいては市場価値を引き上げるのだと思います。

グローバルな基準で評価される環境で鍛えられることで、語学力や本記事で紹介したコミュニケーション能力、社会人として必要な政治力などが伸びていくのでしょう。

外資系企業はグローバルキャリアを築くための第一歩としても、また自分自身のポテンシャルを試すフィールドとしても非常に魅力的な選択肢だと思います。

英語力を身につけつつ、まずは一歩踏み出してみることで見える景色が変わると思います。

筆者も日々奮闘しています。一緒に頑張りましょう。

Please Share!!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次